【詐欺解説】震災復興詐欺
人の不幸につけ込むという点では最も悪質かつ卑劣な詐欺である。
未曾有の大災害となった東日本大震災後、様々な形で詐欺が横行した。
震災後の詐欺自体は阪神淡路のときも、新潟中越のときも起きたが、規模や被害額は東日本大震災が最大級だろう。
また今回の大阪震災でも同様の詐欺が横行する可能性があり、注意が必要だ。
初期的には、被害があまりなかった地域における耐震補強を名目にしたリフォーム詐欺が目立った。
半壊・全壊ともなれば手の出しようもないわけだが、やや傾いたり壁にひびが入った。
歪みで立て付けが悪くなったといった家屋が狙われる。
「このままでは次の地震に耐えられない」「今補強しておけば、将来にわたって安全だ」という物理的側面からの騙しに始まり、「国の耐震基準が変わった」「役所の指導で補強しなければならない」などの制度的騙しへと繋がっていく。
役所からのチェックだと称して無料診断を謳いながら「これは手を入れないといけない。いずれ補助金が出るが、それも早く提出しないと時間がかかる。余震もあるので」と急がせていくことになる。
でたらめな補強や、アルミサッシ交換などで暴利をむさぼっていくのである。
その次にやってきたのが就業系の詐欺。
職を失った人々に対して「特別採用枠」があると持ちかける。
実際、各自治体では震災被害者に対して臨時雇用を行なったのだが、それを模倣したものだ。
「採用希望者が多いので、選別している。共済組合に加入したことにしておけば優先されるので、先払いするといい」などと数百万を騙し取った人間もいる。
東京に就職先があるとして支度金を取った例もあるし、過酷な労働条件に押し込んだケースもあった。
他にも仮設住宅に優先して入れるとか、代替地を早めに入手できるなど、被災者の心理的弱みつけ込んだ詐欺が頻発、さらには闇金業者までもが暗躍し、高利で金を貸すといった事態にまで発展している。
むろん、行政の対応の遅れや現地の混乱など問題は他にもあるわけだが、何よりも悪質極まりない、非人間的犯罪こそが摘発されるべきであるのは言うまでもない。