【詐欺解説】送り付け詐欺
勝手に商品を送りつけておいて、代金を請求してくるのがこの手の詐欺。
歴史は古く、少なくとも昭和四十年代には存在していた。
当時扱われていた商品は主に百科事典で、これは巻数が多いことから使われた。
どういうことかというと、全四十巻、あるいは五十巻といった商品の第一巻をまずは送り付けておき、断りの電話がない場合は第二巻、第三巻と送り続けていく。
もちろん代金を請求して。
最初、届いたときは無料と勘違いしてしまう。あるいは実際に無料と書かれていることもある。
だが、第二巻以降が無料であるとはどこにも書いていない。
途中で断ったとしても、「すでに受注と考えて全巻分の発注はすんでいるから、仮にいらないと言われても、その分の代金を払ってもらわないと困る」と言われることになる。
現代ではさらに悪質化している。
というのも、少なくとも百科事典は無価値ではないし、役に立つ可能性もある。だから「送り付け商法」という言われ方をした。
悪質ながら商売の範疇に入っていたのだ。
だが、今では無価値で受け取ってもどうしようもないものが商材になっている。
ボールペンを一本入れて代引きで発送し、五千円から一万円を騙し取るものなど、どう考えても騙し以外の何物でもない。
最近では返品の難しい生鮮食品を扱うことで回収率を上げている。
アンケート調査と称して連絡したり、懸賞を装うこともある。
「カニはお好きですか」という問いかけが、詐欺の入り口になっているのだ。
この手の詐欺に対しては、受け取らないというのが一番の対抗策になる。
特に代引きは一度受け取って支払ってしまうと、返金を求めるのは難しい。
実際配達員から、その旨を伝えられる。
覚えのない商品なのだから拒否すればいいのだが、アンケートに応募したことから「もしかすると…」と考えさせることも狙いになっている。
金銭的にも十分に支払い可能な額なのが特徴でもある。
代金を支払わずに相手の名前を確認させてもらい、連絡をとることが肝要だ。
少しでも不審なら断固拒否。もちろん身内や友人に相談することも役立つだろう。