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【詐欺解説】粉飾決算・架空取引詐欺

架空取引というのは、基本的に数ある粉飾決算の中の一手口だ。

 

粉飾決算とは、上場企業が株価の高値を維持したり、非上場であっても銀行融資を引き出すために行うもの。

売り上げを水増ししたり、コストを安くしたりして決算書を優良に見せかけるわけだが、もっとも効果的と言われているのが、子会社や関連会社を使った架空取引だ。

 

簡単にいうと架空取引は次のように利用される。

 

売上高が不足している場合、実際には存在しない売り上げを伝票上操作する。

そして、決算が終了するとキャンセル扱いになる。

結果的に実際に利益は発生しないのだが、帳簿上は利益が発生したことになるのだ。

期末になると行われるが、場合によって、融資を引き出すために、数か月にわたって帳簿上の取引を行っておき、融資が決定した後に全てをキャンセルや返品として処理することもある。

 

これを詐欺として行う場合には、親会社から金を抜き取ることが多い。

つまり、親会社から指令を受けて架空の売り上げを計上する場合に、取引先と結託して金額を水増しし、キックバックやリベートを取るのだ。

本当の架空取引ならば、金銭のやり取りは発生しないのだが、そこまでやるとバレる可能性が高いため、帳簿の1割2割程度の取引は実際に行うことになる。

その取引に上乗せして金を抜き取るのだ。

 

 

粉飾とは全く関係のない詐欺にも使われる。

悪質なものだと、受け取った商品を在庫扱いにしておき、転売するというものだ。

在庫のチェックが甘い企業や役所で行われる。

こうなると、見た目は商取引に見えるが、実際は単なる会社への背任行為である。

 

架空取引に協力していた企業が、スケープゴートとして切られることも珍しくない。

会社ぐるみで行われていながら、担当者の責任にされることもある。

 

結局のところ、市場優先主義で株価が何よりも大切にされたり、書類上問題がなければ融資が実行されるといった、全体のシステムが生み出している詐欺と言えるだろう。

 

粉飾決算や架空取引に協力するのが危険なのは言うまでもないが、仮に上司に命令されても、実行すれば担当者として処罰される上に、場合によっては全責任を問われることもあり得るのだ。