【詐欺解説】コンプレックス商法
昭和どころか明治、むしろ江戸時代から存在するのがコンプレックス商法だ。
簡単に言えば「背が伸びる」「痩せる」「胸が大きくなる」「毛が生える」「男性機能が増大する」といった類のもの。
もちろん、嘘だ。
だが、相変わらず広告は大手雑誌に平然と掲載されている。「運が開ける」といったものも増えている。
業者も巧みで「60日間返金保証」とあったりするが、60日後にはすでに会社がなかったりするからあなどれない。
人間が気にしているところを突くからコンプレックス商法と呼ばれているのだが、エステ産業や美容整形も根源的にはコンプレックス商法から遠くない産業である。
この手の、特に通販広告は引っかかると困るのだが、始めから嘘と分かっていて見るとそれなりに面白い。
特に「運が開ける」グッズはおもしろい。
札束をベッドにまいてにんまりする男、美女を抱えて得意満面の男。
ステレオタイプもここに極まれり、というところだ。
しかも、これだけすごい運(宝くじ高額当選、美女がどんどん寄ってくる、起業に成功して上場間近)が、わずか1万か2万のペンダントやブレスレットで得られるというのだから、笑うしかない。
神社のお札も似たようなものだと嘯いた業者もいたが、とんでもない話で、苦しいときの神頼みというのは、願望であり、実現約束ではない。
「うちの神社のお札を買った人は、誰も交通事故にあっていません」などと宣伝する神社はないし、少なくとも聞いたことはない。
こうしたコンプレックス商法や開運商法というのは、オカルトであり迷信に近いものがある。
詐欺はコンプレックスと選民意識が大切で、弱点を責めるか、選ばれた人という優越感を利用するかなのだ。
ここ数年で見ると痩せられる、禁煙できる、がいいビジネスになっているようだ。
本物もあるが、偽物もかなり混じっている。
タレントを使ってさも成功したように見える広告で、いかにもそれらしくしているが、内容はろくでもないものが多い。
コンプレックスを克服することは大切かもしれない。
しかし、そのコンプレックスだけが問題なのかどうか、よく考えることのほうがもっと大切だ。
仮に背が伸びたとして、胸が大きくなったとして、痩せられたとして、それ「だけ」で人生が変わるのかどうか。
人間というものが、そんなに単純な生き物だとは思いたくないものだ。