【詐欺解説】詐病詐欺
社会保障制度を利用し、鬱病と偽って傷病手当金を詐取するのがこの詐欺の正体である。
病気には医師であっても判断が難しいものがいくつかあり、そのひとつが精神系統疾病である。
なにしろ外傷があるわけでもなく、レントゲンやMRIといった装置による診断ができないのだから、基本は問診になってしまう。
医師は患者の状態や受け答えから判断するのだが、鬱病患者の特徴を相手が熟知していたならば、詐病を見破るのは難しい。そこを利用した犯罪である。
もともと医療系詐欺は保険金を狙ったものが多く、場合によっては病院側まで加担しているケースも存在する。
保険適用期間が過ぎる前に別の疾病が判明して、さらに保険適用がなされるといった手法で、発覚すれば当然詐欺になる。
仮に医師が治ったと判断しても、本人が痛みがあるといえば治療を継続することもよくある。
ムチウチのような自己申告が有用な症状では珍しいことではない。
保険会社側も、自傷行為や詐病に対しては厳しいチェックを行うようになっているが、社会保険の場合は公的保険のため、チェックは比較的甘い。
狙うのは無論、その甘さである。公的なものほど「お役所仕事」で杜撰になりがちである。
ストレス社会になり、鬱病が大量に増えていることから、今後も同様の詐病犯罪は続いていくと思われる。
また、気を付けたいのは「人間関係で狙われる」可能性があることだ。
上司のイジメで鬱病になったと訴えられることだってあるだろう。それが詐病だったとしても、見抜くのは難しい。
無関係であると証明するためには、日常の行動が重要になる。
しかし、人の心、そのすべては残念ながら科学で覗くことはできないのだ。